報告者 中村通夫治療師
患者 69歳男性
既往 H28年8月 急に心窩部の苦悶感、悪寒、激しい嘔吐と下痢を発症
約2時間後、病院でCT検査のため造影剤の注射を行った直後に症状が消失した
各検査値 AST 177 ALT 67 LDH 358 ALP 532 γ-GTP 437
BNP 24.3 WBC 14560
CT所見 胆石 11mm×3 6mm×2
翌日も症状はなかったため、
治療は遠絡療法のみ週2回の治療を半年間継続した
H28年11月 検査値はすべて正常
H29年4月 CT 胆石 7mm×2 に減少していた
病歴・生活習慣
7~8年前から逆流性食道炎、胸やけ
夕食は遅いことが多い、飲酒ビール350ml、ワイン2杯
食後すぐソファーで横になる習慣
処方 To/2d+c+a+T8~12
両側AxIII//6/3!
rAxII//6/3!
当日のディスカッションの内容です。
(レコーダーから書き起こしました。
もし誤りがあればコメントで訂正頂けますようお願いいたします。寺木啓祐)
■中村Mr.
実はこの症例は私自身です。CTで見つかった胆石に対して、自ら遠絡療法のみで治療を行ったところ、半年後の検査では胆石の数とサイズが減少していました。遠絡によって胆石が排出されたことを自ら経験できたと考えています。
■申Dr.
胆石が減っているということで、ウルソなどの薬を飲んだのではないかと思ったのですが、薬は全く飲まなかったのですか?
■中村Mr.
遠絡のみを週2回、半年間継続しました。
■申Dr.
最初の症状は急性胆嚢炎で、これは点滴や安静にしていて回復したと思うのですが、胆嚢胆石はサイズが10mmを超えると排出できないといわれています。普通は7~9mmの石が抜けるときに激痛となりますので、先生の胆石の場合は7mmのものが痛みを伴って排出されて11mmのものが残るはずなのですが、結果を見ると痛みなく11mmのものが無くなっているということに驚きます。
■山本Dr.
遠絡の手技によって胆管が拡張して大きな石がスムーズに抜けたと考えることはできないでしょうか?
■申Dr.
尿管結石の症例報告などもありますので、そのような可能性もありそうですね。
※午後の懇親会で高橋Dr.によるレヨコンプ(波動測定器)のデモンストレーションが行われました。その中で遠絡の連接の効果を波動的に測定するデモンストレーションの際に、肝経の波動の乱れに対してlTxII、lTxIの「5~6」の瀉法を行い、波動が正常になることを観察しました。
■渡辺Dr.
午前中の中村先生の症例において、もしかしたら造影剤の注射が問題のあった胆管か胆嚢に対応するlTxII、TxIあたりのポイントにあたったのかもしれませんね。それによって胆石が抜けるか何かをして、注射の直後にさまざまな症状が消失してしまったという可能性も考えられます。